なぜ今、農業で外国人材が必要なのか——データと公開事例で読み解くメリット/デメリット【2025年度最新版】|FarmONのお知らせ・コラム

2025.11.11
なぜ今、農業で外国人材が必要なのか——データと公開事例で読み解くメリット/デメリット【2025年度最新版】

 

本記事は、農業経営者・人事担当者の皆さまに向けて、現場が直面する人手不足の実態と、特定技能(農業:耕種/畜産)を軸にした通年の人員設計を判断するための材料を、公的統計公開資料に基づき、整理した記事になります。
機械化・DXだけでは埋めきれない“人手の空白”をどのように埋めるか。リードタイム、支援体制、リスクも含めて具体的にご説明いたします。

 

0. 導入:結論の先出し

結論を先に申し上げます。農業の人手不足は一時的な現象ではなく、社会構造的に進行しています。機械化・DXは重要な打ち手ですが、地形・作物・気象・投資回収などの制約により、すべての工程をすぐに置き換えることは難しい状況です。
そのため、特定技能(農業)による通年での人材配置を早期に設計し、教育・評価・生活支援をセットで回すことが、現実的な対策となります。

 

本稿は、(1)公的統計の確認、(2)制度の要点、(3)公開事例から見える成功パターン、(4)リスク、(5)求人〜採用〜配属のリードタイム、(6)メリット/デメリットの総括、という順にご説明いたします。

根拠は農林水産省および出入国在留管理庁の一次情報を中心に掲示いたします。

※ 制度・数値は更新されます。実務適用の前に必ず最新の公表資料をご確認ください。

1. 背景データ:いま現場に起きている“人手の空白”

1-1. 農業就業人口と年齢構造(直近統計)

基幹的農業従事者は、令和5年:79.9万人から令和6年:76.6万人へと減少し、1年で約3.3万人(▲4.1%)減っております。平均年齢は69.2歳、65歳以上が約72%と、高齢化の進行が急激に進んでいます。
ここ数年は毎年数万人単位の自然減が積み上がっており、農場の維持に必要な最低人員を下回るケースが増えているのが実態です。
(出所:農林水産省「農業労働力に関する統計」)
リンク

 

地域別に見ますと、北海道や九州の大規模経営地帯でも人員のめどが立ちにくく、施設園芸・果樹・畜産の現場では勤務時間帯・温度条件・繁忙期の偏在により、短期間での補充が効かない状況が散見されます。
結果として、品質のバラつき歩留まりの低下安全リスクの増大が生じ、ベテランの負担集中で離職の連鎖が起こりやすくなっています

 

指標 直近値 補足
基幹的農業従事者 76.6万人(令和6年) 前年比▲3.3万人(▲4.1%)
平均年齢 69.2歳 高齢化が進行
65歳以上の割合 約72% 年齢構造の偏在

1-2. 新規就農の足元と“雇用就農”の頭打ち

新規就農者は令和5年で約4.3万人。内訳では雇用就農が約9千人と、「就職として農業に入る」ルートが伸び悩んでいます人材獲得競争は地域間・業種間で激化しており、相対的に給与レンジが高い分野に若手が流れやすいという構造的事情もあります
(出所:農林水産省「農業労働力に関する統計」)
リンク

 

1-3. 代替手段の限界と選択肢:機械化・DX・季節雇用・特定技能

機械化・DXの効果は大きい一方、初期投資・地形・設備・データ整備などの制約により、短期で回収するのは容易ではありません。
季節雇用はピーク対応に有効ですが、育てた技能が次季に引き継がれにくい課題が残ります。
そこで、特定技能(農業)により通年で人員を固定し、育成支援を組み合わせることで、季節変動や欠員リスクを平準化する発想が現実的です。

特定技能の在留外国人数は全体で増加傾向にあり、農業分野でも受入れが拡大しております。
最新の分野別人数は出入国在留管理庁の半期公表をご参照ください。
制度ページ

 

まとめ:「人員の自然減」と「高齢化の固定化」を、機械化・DXだけで吸収するのは難しい状況です。
作型・圃場・工程に応じて特定技能の通年配置を織り込み、作業工程の見える化と教育を一連の流れでまとめることが、もっとも速く確度の高い対策になります。

出所:農林水産省「農業労働力に関する統計」

https://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html
参考:出入国在留管理庁「特定技能制度」

https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html

2. 特定技能制度の今

特定技能(農業:耕種/畜産)は、技能試験と日本語試験を前提に、現場の即戦力として就労できる在留資格です。
受入れ企業は直接雇用が原則で、支援計画(住居・役所・医療・日本語学習・相談・面談 等)の実施が義務です。
支援は登録支援機関へ委託可能で、生活立ち上げ・面談・記録・届出管理まで外部化することで、現場の負担を大幅に軽減できます。(FarmONでは特定技能外国人材のご紹介、登録機関としての支援が可能です。ぜひ一度お問い合わせください

 

直近は届出の合理化や自治体との連携(協力確認書)など運用の更新が進んでおります。
詳細は出入国在留管理庁・農林水産省の公式資料をご確認ください。

3. 公開事例で学ぶ“成功パターン”

事例A:キャリア設計×教育の型化で定着

段位(初級→中級→上級)と昇給テーブルを提示し、写真表示+短編動画による初期教育(作業方法等)、週1回の面談を継続して定着率を高めたケースが自治体の事例集で紹介されております。
重要なのは、写真や映像による教育(言語の壁をカバー)昇給の根拠を数値で示す見える化です。

 

事例B:安全衛生と品質の見える化で歩留まり改善

危険=赤、要注意=黄、OK=緑で現場掲示を統一。選果のOK/NG写真を台上の視線高に常時掲示し、月次の品質レビューと連動。歩留まりのブレが縮小し、再教育の手戻りが減った好事例が公表されています。

 

事例C:耕種/畜産の分業設計が効いたケース

耕種は収穫〜選果、畜産は給餌〜洗浄〜搾乳といった工程別適性に基づく配属を行い、小さく始めて3か月後に連続採用。先輩スタッフとしての教育担当を週1で回すことで教育の属人化を避けたという事例が見られます。

※ 出所:自治体・公的機関が公表する受入れ事例集・報告資料(例:都道府県 農業振興部の事例集、農林水産省・関連団体の公開資料 等)。
(地域に近い事例は「都道府県名+特定技能+農業+事例」で検索いただくと最新のPDFが見つかりやすいです。)

4. デメリット/リスクも直視する

外国人材活用は万能ではございません。手続・書類負荷、在留資格の整合性、教育・生活支援品質のバラつき、人海戦術依存による自動化投資の先送り、期待ギャップからの早期離職など、無視できない論点が多くあります。

 

  • 在留資格の整合性:求人票・職務記述・工程写真の整合を最初に固定。 → 登録支援機関によるサポートをお勧めします
  • 支援品質登録支援機関の実績・面談体制・年次監査の有無を必ず確認。 → 支援機関によって品質に大きな差があります
  • 最初の3ヶ月:生活立ち上げと教育を集中的に。面談は最低月1回、振り返りは毎日。 → 初期導入の成功は離職防止に繋がります
  • 見える化写真表示+60秒動画+評価表をセットで整備し、掲示位置を固定。 → 誰でもわかるようにする

5. 特定技能(農業)|求人〜採用〜配属のリードタイム

下表は、海外在住候補者国内在住候補者に分けた一般的なリードタイムの目安です。
実際の所要は国・試験合格状況・書類精度・渡航時期などで変動いたします。作型・繁忙期から逆算して計画ください。

 

区分 主な工程 目安期間 備考
海外在住 募集→書類選考→面接→雇用契約→在留認定→査証→入国→配属 4〜6か月 試験合格済み・送出側の学習進度で短縮可
国内在住 募集→選考→雇用契約→在留変更→配属 3〜4か月 在留中(留学・家族滞在等)の場合

書類・面接の設計ポイント

  • 求人票:会社概要・業務内容・給与・休日・残業時間・日本語要件・生活環境等をわかりやすく記載し、必要に応じて直接説明する。
  • 面接:対面orオンライン+簡易技能チェック(色識別・規格理解・数える作業)※FarmONでは現地面接アテンドも可能です。
  • 在留資格手続き:雇用契約・支援計画・会社資料・住居情報の整合を先に固定し、手続きミスを防止。

コツ:繁忙期から逆算スケジュールを作成し、登録支援機関と採用スケジュールを共有することでスムーズな採用が可能となります。

参考:FarmON「特定技能(農業) 受入れフロー」https://farmon.co.jp/ssw/flow.php

6. まとめ:採用メリット/デメリットの要点

観点 メリット デメリット・留意点
人員安定 通年の戦力化で欠員リスクを平準化 在留・支援の管理負荷が一定発生
品質・安全 写真表示と面談で歩留まり・事故率を改善 教育設計が甘いと成果が出にくい
費用 欠員縮小・歩留安定で回収が見込みやすい 初期費用(住居・備品・渡航 等)、支援費用が必要
組織学習 写真表示・動画・評価表の整備が進み属人化を抑制 導入初期に設計負荷が集中

 

【最後に】
「採用する・しない」は、人員の空白(人数×期間)と投資の順番(機械化・DXと人員の最適配列)を数値で比較し、ご判断いただくのが実務的です。
FarmONでは優秀なインドネシア特定技能人材を随時ご紹介可能です。農業分野はもちろんのこと、飲食料品製造業、自動車運送業、工業製品製造業などの分野でご紹介が可能です。
また、登録支援機関の切り替えについてもご相談可能です。
日本語教育支援(オンラインJLPT対策講座の実施等)のサービス提供も行っておりますので、ぜひ一度当社にご相談ください!

 

監修・執筆:株式会社FarmON

▲ ページ上部へ戻る

Return to List

Contact Us

お問い合わせ

株式会社FarmONへのご相談・ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。