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2025.09.07
【2025年版】飲食料品製造業の特定技能2号:制度要件・試験・育成ガイド

人手が足りない。製品は増える。衛生基準は上がる。——この三つ巴に、現場は毎日追われています。 特定技能2号(飲食料品製造業)は、単に腕の良い作業者ではなく、 仲間を動かし工程を整える「現場の舵取り役」を制度として位置づける仕組みです。 本稿では、制度の要点、試験と実務経験の考え方、SSW1→SSW2への育成設計までを、 現場目線でわかりやすく整理しました。導入の迷いを減らし、今日から動ける形に落とし込みます。

特定技能2号で工程を指導する管理者のイメージ
この記事でわかること
  • 制度の要点:分野定義、対象業務、受入れ機関の義務(協議会・キャリアアップ提示 等)
  • 人材基準:特定技能2号の技能測定試験、管理業務としての実務経験、日本語の実務水準
  • 育成設計:SSW1→SSW2のステップ、OJT/Off-JT、評価KPI、在留資格変更の運用
  • 落とし穴回避:職務定義不足、記録不備、委託範囲の誤解、派遣・請負の線引き
  • 導入メリット:安定稼働・品質再現性・定着・採用競争力の向上

制度の全体像と対象業務(飲食料品製造業の特定技能2号)

特定技能は、即戦力の外国人材が日本で働ける在留資格です。飲食料品製造業分野の 特定技能2号(以下、SSW2)は、製造・加工・衛生の実作業に加えて、 工程全体を見渡す管理業務(品質・衛生・納期・人員・原材料の管理、教育指導、工程統制)を担える人材を想定しています。 目的は単純で、「現場を止めない」「品質を乱さない」。この二つを安定させる管理力を制度が評価します。

受入れは原則直接雇用。企業は食品産業特定技能協議会の構成員となり、 調査協力や教育・支援の体制整備を行います。登録支援機関に委託する場合は、 協議会構成員である登録支援機関へ委託するのが原則です。さらに、キャリアアッププランの事前提示や 実務経験証明の交付など、受入れ体制労務管理の透明性が求められます。

現場では、HACCP、アレルゲン、異物混入、高温・湿潤環境、交替勤務、繁忙期の増員など、 落とし穴が多いのも事実です。だからこそ、SSW2の職務定義(Job Description)と権限 (停止判断・是正指示・記録承認)を文書化し、日本語・多言語の標準と合わせて運用することが成功の分かれ目です。

人材基準:試験・日本語・実務経験の考え方

SSW2では、飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験への合格が必要です。 試験は「自分の作業ができる」だけでなく、「他者へ伝え、工程を回す」力も問います。 これに加えて、複数の従業員を指導しながら工程を管理した実務経験が要件化されます。 年数の表現は告知の更新で見直されることがありますが、核は一貫して「管理業務としての実務の蓄積」です。

日本語は級数より仕事の場面で測るのが現実的です。たとえば、 「作業標準と品質記録を読み取れる」「KYTや朝礼で要点を噛み砕いて伝えられる」 「アラーム・異常時に停止→応援要請→再開判断まで報告できる」。 こうした行動基準を社内で明文化し、評価と処遇にひも付けるとブレません。

試験運用は食品産業技能評価機構(OTAFF)の企業マイページから。 受験者登録/申込み、学習テキスト、会場案内などの最新情報をそこで確認できます。 企業側は、学習計画・模擬テスト・勤務調整・受験費用負担の方針を先に決め、 合格後の役割等級・賃金レンジの見直しも合わせて示すと、本人の納得感が高まります。

在留資格変更(SSW1→SSW2)では、職務内容・雇用契約・報酬・支援計画・就業場所・教育運用など、 書類の整合性と実効性が審査のポイントです。登録支援機関に委託しても、 最終責任は受入れ機関にあります。指導ログ、是正履歴、KYT、品質記録、教育受講—— 日々の記録が、そのまま申請の強い根拠になります。

要件早見表:特定技能1号/特定技能2号(飲食料品製造業)

違いを一枚で把握できるよう、制度・人材・運用の観点で対比しました。

項目 特定技能1号 特定技能2号(飲食料品製造業)
業務範囲 製造・加工・安全衛生の確保 上記+管理業務(衛生・品質・納期・人員・原材料 等)
技能試験 飲食料品製造業 特定技能1号技能測定試験 飲食料品製造業 特定技能2号技能測定試験
実務経験 熟練作業の経験 複数従業員の指導を伴う工程管理の経験(年数は最新告知に準拠)
日本語 基礎力(N4等/免除要件あり) 現場日本語(記録・指示・是正報告を自律遂行)※社内基準で明確化
雇用形態 直接雇用 直接雇用(協議会構成員・キャリアアップ提示・実務証明 等)
支援計画 登録支援機関へ委託可 委託時は協議会構成員の登録支援機関へ

SSW2移行フロー(SSW1→SSW2の現場実装)

① 人材棚卸し
在籍者の技能・日本語・リーダー素養・指導実績を可視化。2号の職務定義とのギャップを洗い出し。
② 育成計画
OJT(工程・段取り・QC・安全)+Off-JT(日本語・品質・労務)を四半期単位で設計。KPIは不良率・停止時間・是正件数・指導回数など。
③ 管理経験化
小チームの配置・引継ぎ・KYT主導・是正指示・記録承認を任せ、週次のコーチングで定着。
④ 試験準備
シラバス→演習→模試→弱点補強。企業マイページで受験者登録・申込、必要書類の収集とチェック。
⑤ 在留資格変更申請
職務・契約・報酬・支援計画の整合性を確認し、申請。実務記録を根拠資料に。
⑥ 配属・定着
権限・責任・評価・教育を明確化。改善提案と教育を回す運用に移行。

育成設計:ラインリーダーを育てるための実装ポイント

  1. ☑ 職務定義と権限
    工程停⽌・再開・是正指示・応援要請・記録承認の権限を明文化。代行・不在時の委任規程も。
  2. ☑ 標準化と可視化
    作業標準・点検表・記録票を多言語化。日本語の要点記入を基本に、ピクトと色分けで誤解を最小化。
  3. ☑ 衛生・品質の基礎
    HACCP、アレルゲン管理、異物混入防止、清掃・洗浄、温度管理、校正、トレーサビリティ。
  4. ☑ コミュニケーション訓練
    KYT・朝礼・引継ぎでの定型フレーズを整備し、ロールプレイ→フィードバック→改善を週次で。
  5. ☑ 評価と処遇
    KPI連動の評価基準を設定。合格後は役割等級・賃金レンジ・教育機会を見直し、期待役割を明文化。
  6. ☑ 申請運用
    在留資格変更に必要な書式・添付・期限・責任者を標準フロー化。更新や異動時のチェックもテンプレ化。

育成メリット(経営・人事の視点)

SSW2人材は、段取り替えや小停止、品質逸脱の芽を早く潰します。結果として、歩留やリードタイム、棚卸精度が安定。 定着率と採用競争力の向上にも効いてきます。ポイントは、制度(在留資格)・受入れ体制・支援計画・労務管理を 分断せず、ひとつの運用設計で回すことです。

落とし穴と対策:ありがちな失敗を未然に防ぐ

職務定義が曖昧で「管理経験」が積めない

権限と記録責任を曖昧にすると、実務は熟練作業の延長に留まり、要件の肝である「指導・工程管理」の経験が証明できません。Job Description、権限表、代行ルールを先に作り、指導ログ(誰に何をどの頻度で)を残しましょう。

記録の品質が低く申請で苦戦

是正履歴・教育受講・KYT・品質記録が断片的だと、経験の裏づけが弱くなります。フォーム統一と週次レビューで「抜け・漏れ・矛盾」を早期に是正します。

委託範囲の誤解

登録支援機関に委託しても、最終責任は受入れ機関です。評価・処遇・権限設計、現場日本語の標準化は企業主導で進めます。

派遣・請負の線引き不明瞭

SSWは原則「直接雇用」。現場指揮命令や混在工程の運用は、請負・派遣の境界に関わるため、契約と現場実態の整合管理が不可欠です。

市況と導入メリット:なぜ今「特定技能2号(飲食料品製造業)」か

多品種少量・短リードタイム・衛生規制の高度化で、現場は「経験頼み」から「標準化・自律運転」へ舵を切る時期に来ています。 特定技能2号(飲食料品製造業)の枠組みは、管理業務まで遂行できる人材を計画的に育成・評価・処遇することで、 需要変動や欠員のリスクを吸収し、改善を回し続けられる組織づくりを後押しします。教育・記録・申請を一体で回すことが、 制度の旨味(安定稼働・品質の再現性・人材定着)を最大化します。

受入れ体制セルフチェック(抜け漏れ防止)

  • ☑ 協議会協議会登録と、登録支援機関(委託時)の要件確認が完了している
  • ☑ 2号Job Descriptionに対応した職務・権限・評価・賃金レンジを定義済み
  • ☑ 日本語の実務基準(記録・指示・是正報告)を行動指標で明文化している
  • ☑ 多言語の安全・品質標準と教育計画(OJT/Off-JT)が運用されている
  • ☑ 指導ログ・是正履歴・KYT・品質記録のテンプレとレビュー運用がある
  • ☑ 試験学習の支援方針(教材・模試・費用・勤務調整)を明確化している
  • ☑ 在留資格変更の書式・添付・期日・責任者の標準フローがある
  • ☑ 派遣・請負の線引き、36協定、深夜・高温作業の衛生管理を点検済み

FAQ:よくある質問(特定技能2号・飲食料品製造業)

Q. SSW1からSSW2への移行はどれくらいの期間を見込むべきですか?
A. 受験資格要件を除き、管理経験の蓄積、学習・受験、申請準備を含め、現場要件に応じて6〜12か月を目安に逆算します。繁忙期は訓練が滞りやすいので前倒しが有効です。
Q. 日本語の目安は?
A. 級数ではなく実務行動で定義します。「標準・記録の読解」「口頭指示・是正報告」「引継ぎ・KYTの主導」が一人で回せることを基準にしましょう。
Q. 登録支援機関に委託すれば人事は何を担いますか?
A. 評価・処遇・権限設計、現場日本語の基準化、実務記録の品質管理は企業主導です。最終責任は受入れ機関にあります。登録支援機関を活用することで業務負担を減らすことも可能です。
Q. 派遣での活用はできますか?
A. 原則は直接雇用です。指揮命令系統を明確にして管理をするようにしてください。
Q. 合格後の処遇はどう設計しますか?
A. 役割等級・賃金レンジをKPIに連動させ、昇給・教育機会・改善提案の仕組みとセットで運用します。

まとめ:核心は「職務の言語化」——まずはJob Descriptionと記録から

特定技能2号(飲食料品製造業)の価値は、熟練作業を「管理業務」に高める点にあります。 権限と責任、教育と評価、日本語の実務基準、申請運用をひとつの設計で回せば、安定稼働・品質の再現性・定着が同時に実現します。 現状の棚卸しと半年〜一年の移行計画を描き、SSW1からSSW2への道筋を具体に示すことから始めましょう。

制度・試験・育成の設計でお悩みなら、FarmONにご相談ください!

制度要件の整理から育成設計、申請運用までワンストップで伴走します。

出典(公式)

※最新の年次・会場・募集枠・書式は、上記公式ページの最新告知をご確認ください。(PDFは本記事では直接リンクしていません)

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