- 2025.09.02
- 【2025年版】特定技能(飲食料品製造業)の制度・手続き・採用メリットを解説
人手不足が続く製造現場。とくに衛生とスピードを両立する「一次加工・二次加工」ラインでは採用競争が激化しています。本稿では、飲食料品製造メーカーの人事・工場長が即実務に落とし込めるよう、特定技能(飲食料品製造業)の制度、最新の運用ポイント、申請フロー、リスク、定着までのコツを解説します。

- ・ 「特定技能(飲食料品製造業)」の制度要点と最新アップデート
- ・ 人事・現場が迷いやすい実務(受入れ体制・支援計画・雇用契約)
- ・ 申請~配属までのステップ、費用・期間の目安、失敗しない運用設計
●制度の全体像と最新動向(特定技能〈飲食料品製造業〉)
「特定技能」は人手不足分野で一定の技能を持つ外国人材が就労できる在留資格です。区分は1号(最大通算5年、家族帯同原則不可)と2号(熟練人材向け。要件を満たせば在留期間の上限なし・家族帯同可)に分かれます。飲食料品製造業分野は、日本語で「酒類を除く飲食料品の製造・加工および安全衛生の確保」に従事する仕事が対象となり、2023年の方針改正により2号の対象分野にも追加されました。雇用形態は直接雇用が原則で、受入れ機関は食品産業特定技能協議会への加入が必須です(登録支援機関を委託する場合も協議会要件に適合します)。
要件の確認、対象業務・職場衛生・労務ルールを把握(HACCP、シフト・深夜労働の管理など)。
会社全体としての方針決定、支援体制の検討、食品産業特定技能協議会に加入。
ジョブディスクリプション整備、賃金・手当・寮等の条件明確化。
技能測定試験(分野試験)合格者×日本語(JFT-Basic/JLPT N4以上)を確認。面接(対面orオンライン)の実施。
在留申請書類・支援計画を準備し申請、許可後に配属準備。
安全衛生教育・日本語学習支援・シフト安定化、評価とキャリア設計(2号への道)
制度・様式は定期的に更新されます。2025年4月にも運用要領・様式一覧が更新されており、最新原本の確認が人事のリスク管理になります。
●1号・2号の違い/要件早見表
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号(飲食料品製造業) |
---|---|---|
在留期間 | 通算最大5年 | 上限なし(更新制) |
家族帯同 | 原則不可 | 要件満たせば可能(在留資格「家族滞在」の付与) |
技能要件 | 分野試験合格(技能実習2号修了で免除可) | 2号技能測定試験合格+管理者実務経験2年以上 |
日本語 | JFT-Basic または JLPT N4以上 (技能実習2号修了で免除可) |
実務上N3相当以上が望ましいが、具体的な要件なし (試験は技能中心だが、回答にはN3水準以上日本語力必須) |
雇用形態 | 直接雇用 | 直接雇用(派遣不可) |
受入れ義務 | 1号支援計画の実施(自社または登録支援機関) | 協議会加入・実務経験証明の管理 |
飲食料品製造分野の1号受入れ見込数(5年間最大値)は制度上公表され、需給逼迫に応じて再設定されます。採用計画では、試験枠・申請混雑の季節変動も織り込むと計画倒れを避けられます。
●申請~配属のステップ(HowTo)
◆Step1:就業場所の決定と要件整理
対象業務・部署・人数・シフト・賃金・寮等を決定。就業規則・36協定の観点も事前点検。
◆Step2:協議会加入と体制整備
食品産業特定技能協議会に加入。支援計画(生活・日本語・相談体制)の策定。
◆Step3:候補者の要件確認
分野試験(OTAFF)合格/日本語(JFT-Basic or JLPT N4以上)/健康・既往歴・夜勤可否・通勤手段などの確認。
◆Step4:雇用契約・支援計画
多言語対応した雇用契約書(条件書)を用意。賃金・時間外・深夜割増、食事・制服、寮費、送迎等を明文化し本人が理解できる言語で説明。
◆Step5:在留申請
必要書類を揃え申請。進捗を可視化し現場に着任予定を連絡、教育カリキュラムを先行準備するなどして、現場の受入れ体制を整える。
◆Step6:配属・定着運用
入社時に安全衛生・HACCP導入教育、指差呼称・写真付きの案内、多言語対応、評価・昇給の道筋提示などを順次実施していく。
●受入れ体制チェックリスト(人事・現場の分担)
特定技能(飲食料品製造業)においては直接雇用が原則です。
在留資格申請前に食品産業特定技能協議会への加入・会費・届出を完了していることが必要です。
特定技能1号については、生活オリエンテーション・日本語学習・相談窓口の設定、在留資格申請フォローが必要になります。(要件を満たした登録支援機関へ委託が可能)
外国人材に対しHACCP、異物混入対策などの教育を実施する体制を準備することが望ましいです。
割増賃金・深夜・休憩・有休・寮費控除のルールの説明は事前に十分にしておく必要があります。
作業手順書・標識・人事書式を日本語+主要言語で整備することが望ましいです。
評価制度と「2号」へのキャリアフローの設計を予めすることで、定着率UP
●運用のコツと落とし穴(現場で起きがちなトラブルを先回り)
◆雇用条件はしっかりと「合意」を得ること
給与、時間外、深夜、交替制、寮、送迎、通勤費は多言語契約の本文に具体値で記載。口頭運用や内規留めは後日の齟齬の元です。
◆HACCP・異物混入防止などの教育
「やって見せる」だけでなく、写真付きSOP、色分けツール、ピクトに落とし込み、誰が見ても同じ手順にします。
◆評価・手当の透明化
キャリアフローを見える化。2号に進む道筋(試験・実務経験)を入社時から共有すると、定着率が高まります。
◆転職した場合の対応
就業規則・契約に沿った手順で行い、在留資格諸手続きについても滞りなく実施するようフォローする
●特定技能人材の採用・定着メリット(特定技能〈飲食料品製造業〉)
① 安定稼働 :欠員・突発退職のリスクを分散し、生産性向上
② 品質・安全の底上げ :SOP徹底と多言語化でヒューマンエラーを減少。
③ 中期的な戦力化 :2号の道筋を示すことで、職長化・技能伝承が可能となります。
④ 採用の裾野拡大 :地方工場・夜勤帯でも候補者を確保しやすくなります。
●最新市況と実務インパクト
政府は受入れ見込数や運用要領を適宜見直し、飲食料品製造では協議会加入の徹底、技能試験の整備、日本語試験(JFT-Basic/JLPT)の受験機会拡充が進んでいます。2023年の方針改正で特定技能2号の対象に本分野が追加され、熟練人材の長期就労ルートが開通しました。2025年も試験運用・解説資料の更新が続いており、最新原本に合わせて社内規程を都度アップデートすることが競争力に直結します。
●Q&A
飲食料品製造分野は直接雇用が前提です。雇用契約・指揮命令系統を自社で担保してください。
1号はJFT-BasicまたはJLPT N4以上が基本。現場安全・品質会話の観点ではN4相当+用語教育が望ましいです。
分野の2号技能測定試験合格と管理等実務経験が必要です。職長補佐→職長の育成ラインを設計しましょう。
1号は原則不可。2号は条件により家族滞在が可能です(配偶者・子など)。収入・住居等の審査があります。
本分野の受入れ機関は食品産業特定技能協議会への加入が義務です。登録支援機関を使う場合も加入要件の確認を。
●公式出典(最新版原本)
- 出入国在留管理庁|特定技能 制度総合ページ(運用要領・様式一覧の更新)… https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html
- 出入国在留管理庁|特定技能2号 対象分野の追加(飲食料品製造業・外食業等)… https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/03_00067.html
- 農林水産省|飲食料品製造業分野(制度・試験・協議会・Q&A)… https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/soumu/tokuteiginou.html
- 一般社団法人 外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)|飲食料品製造分野 特定技能1号 国内試験… https://otaff1.jp/insyoku/
- 国際交流基金|JFT-Basic(特定技能1号の日本語試験)… https://www.jpf.go.jp/jft-basic/
●まとめ・お問合せ
飲食料品製造の現場における人手不足は待ったなしの状況です。飲食料品製造業分野における特定技能外国人材の活用は生産現場の生産性の向上、品質の向上に寄与します。特定技能(飲食料品製造業)は中核人材の新しい選択肢あり、十分に活用できるか否かで企業ごとに大きな違いが生まれると思われます。飲食料品製造業分野の外国人活用についてはFarmONにぜひ、ご相談ください!