特定技能(農業分野)とは?採用手続き・要件・費用をわかりやすく解説【2025年版】|FarmONのお知らせ・コラム

2025.11.14
特定技能(農業分野)とは?採用手続き・要件・費用をわかりやすく解説【2025年版】

 

0. はじめに

本記事の位置づけ
本記事は、農業分野における「特定技能」の基本から、採用の実務、費用と期間の考え方、運用上の注意点までを通しで把握していただくための“入口”となる記事です。
今後、本記事に続けてシリーズで、農業分野における外国人材採用で外せない選択肢である「特定技能」を深掘りし解説していく予定です。
制度改正の詳細や試験対策、成功事例の深掘り、インドネシアをはじめとする主要送出国の特徴などを取り上げます。まずは本記事で基本的な事項と全体像をつかんでいただければ幸いです。

 

対象読者と読み方(耕種農業/畜産農業の双方に対応)
対象読者は、耕種農業・畜産農業の経営者さま、人事担当者さま、現場責任者さまです。記事は耕種・畜産の双方に対応しております。
採用可否の判断、制度と現場の整合、受入れ体制の整備という三つの観点から順に読める構成になっています。
運用は地域や自治体の指導により異なる場合がございますので、最終判断の前に必ず最新の一次情報をご確認ください。

1. 農業分野の「特定技能」とは

区分:特定技能1号・2号(耕種農業/畜産農業)
特定技能は、一定の技能・日本語力を備えた外国人材が現場で即戦力として就労できる在留資格で、農業分野は「耕種農業」「畜産農業」に区分されております。1号は現場実務の担い手として最大通算5年まで、2号は熟練人材として在留上限がなく家族帯同も視野に入る枠組みで、管理・監督・教育の役割も担いやすくなります。2号は対象分野が段階的に整備されていますが、農業分野での運用はすでに運用がスタートしているものの、今後の運用状況によっては制度内容として随時変更が加わる可能性もあります。

 

受入れの基本的な考え方(外国人材の活用と登録支援機関の役割)
受入企業は原則として直接雇用で、雇用契約・報酬・就業規則・労務運用の適正化に加え、生活・日本語・相談・面談・記録といった支援計画が必須です。現場の負荷や専門性を踏まえ、登録支援機関へ支援業務を委託する企業が多数です。登録支援機関は、生活立ち上げ(住居・役所・銀行・通信・医療)、日本語学習の計画、3か月に1回以上の面談と記録、届出スケジュールの管理などをサポートし、在留運用上のリスクを下げる役割を担います。

 

項目 特定技能1号
(農業:耕種/畜産)
特定技能2号
(農業:熟練)
位置づけ 現場の即戦力
(通算5年まで)
熟練・管理ロール
(在留上限なし)
主な役割 作業実務、標準遵守、基本改善 工程管理、教育、品質・安全の牽引
試験 技能(耕種/畜産)+日本語 2号技能試験(学科・実技)
日本語の実務要件 掲示の読解・口頭指示の理解が目安 指導・記録・改善提案での説明力が目安

2. 自社は対象?チェックリスト

事業内容・就業実態が対象か?の確認ポイント

1. 自社の工程が「耕種」または「畜産」のどちらに該当し、特定技能の対象職種であるかどうか。また、求人票・職務記述書への記載内容は実際の業務内容と相違ないか。

2. 実際の就業実態(季節変動、繁忙期、時間帯、危険作業の有無)が在留の該当性と矛盾していないか。

3. 農業特定技能協議会への加入は完了しているか?(在留資格申請前に完了していればOK)

4. 過去5年以内に、同一の労働者を半年以上継続して雇用した経験(正社員、パート、アルバイト、技能実習生など)があるか。

その他にもチェックポイントはありますが、詳細についてはFarmONまでお問い合わせください

 

チェック項目 確認ポイント
分野の該当性 耕種/畜産に明確に割付。業務内容が要件と一致。
就業形態 就業形態が制度趣旨と合致しているか
協議会への加入 農業分野では加入が必須
雇用実績 過去5年以内に半年以上雇用した実績が必要

3. 採用手続きの全体フロー

①採用計画 → ②採用(募集・選考)→ ③在留手続 → ④受入準備 → ⑤就業開始

一般的には、

(1)工程・人数・日本語要件・危険作業の棚卸し
(2)募集・選考(書類・動画・面接)
(3)在留認定または在留変更
(4)住居・備品・掲示の準備
(5)入国・配属・初期OJT

という流れになります。
海外在住の候補者は在留認定・査証・入国のステップが必要で、国内在留の場合は在留変更でリードタイムが短くなる傾向です。
求職者数としては海外在住の方が多いので多様な人材の中から選考、採用いただくことが可能です。
同時並行で外国人材が居住するアパートや生活用品の準備、通勤手段の確定、初期教育の準備等を進めていきます。

区分 主要ステップ リードタイムの傾向
海外在住 募集→選考→在留認定→査証→入国→配属 6か月程度
国内在留 募集→選考→在留変更→配属 3か月程度

4. 企業側の受入要件

雇用契約・報酬・就業規則の整備
賃金は同種同等の日本人と同等以上であることが求められます。就業時間、休憩、休日、割増賃金、各種手当は明確にし、求人票・雇用契約・就業規則で齟齬がないよう統一してください。職務内容は在留該当性を判断できる粒度で特定し、工程写真・レイアウト図・衛生動線なども準備しておくと安心です。

 

生活・日本語・相談支援(登録支援機関の活用)
住居、役所・銀行・医療の手続き、地域ルール(ゴミ分別・自転車・騒音)、日本語学習の導線、定期面談・記録、苦情対応を支援計画として文書化し、登録支援機関と分担します。支援の継続性は離職防止の要で、担当交代時の引継ぎやKPI(面談実施率、相談一次対応時間、記録充足率)を決めておくと運用が安定します。

 

関係団体・協議会等の取扱い(概要)
自治体や業界団体、協議会が提供する手引き・様式・研修がある場合は準拠を優先し、最新告示・Q&Aを定期巡回する運用をおすすめいたします。とくに届出・変更の期限管理は、登録支援機関と共同で年次カレンダー化するとミスが減ります。

5. 候補者側の要件

技能試験・日本語試験の基礎
特定技能1号については、耕種・畜産いずれかの1号特定技能評価試験の合格と、読み取り力が求められる日本語試験(JLPT N4,JFT Basic A2)への合格が基本要件です。
技能実習修了生については該当分野の試験については免除となっています。
制度要件ではありませんが、適性検査等と面接実施などによって、人物評価、自社との親和性を確認し、採否決定をすることが大切です。

 

特定技能1号から2号への道筋(耕種/畜産)
1号でOJT・評価・多能工化の証跡を整え、2号の受験要件(実務経験・試験)を満たす形でステップアップしていくのが基本です。
2号は長期雇用・管理ロールを担いやすい一方、要件の設計が緩いと現場の安全や品質に影響し得ます。企業側では、段位表(初級・中級・上級)と昇給・役割(リーダー・指導員)を連動させ、2号の役割期待を明確化しておくとよろしいでしょう。

 

主要送出国の概観(インドネシアを含む)
インドネシア、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、ネパールなどが主要です。インドネシアは協調性・継続力があり、衛生・標準化工程との相性が良い傾向があります。宗教配慮(礼拝・食材区分)や大型連休の扱いは国により異なりますので、採用前からルールの明文化と掲示で不安を小さくするように配慮するのが望ましいです。

 

観点 到達の目安
日本語能力 1号はN4(A2)以上、2号はN3以上が望ましい
技能レベル 1号、2号ともに技能評価試験テキストに準じた対策が必要
特定技能2号へ向けた準備 経歴要件などもあるので、入社当初から将来に向けたキャリアステップを意識した就業計画を。

6. 費用の考え方

採用時の費用(選考・書類・渡航 等)
人材紹介・通訳・在留申請・各種証明・航空券・空港送迎などが主な項目です。募集から入国までの一時費用であり、採用数・送出国・時期により幅がございます。

 

受入時の費用(住環境整備・備品 等)
住居の初期費用(敷金・礼金等)や家電・寝具・Wi-Fi、通勤手段の確保、作業服・保護具、写真表示や多言語掲示の制作等が該当します。初期教育に必要な時間・ツールも準備しておくと離職防止につながります。

 

継続費用(支援・教育・更新 等)
登録支援機関への委託費、定期面談・記録、教材更新、日本語学習支援、在留更新手続きの費用が中心です。計画的な採用・育成で事業計画に合わせた採用計画を立てると、費用対効果が可視化しやすくなります。

 

予算設計のコツ(繁忙期・通年の配分)
「人材不足になってから人材を採用する」のではなく、不足する前に採用し、育成済みの状態をつくる発想が大切です。

評価・昇給のテーブルを年度初めに固め、支援・教育のKPI(スキル習得率、日本語試験合格率、初年度の離職率など)の目標値を定めておくと社内合意が進みます。

 

区分 主な内容 備考
採用時 人材紹介・通訳・在留申請・証明書・航空券・送迎 採用数・国・時期で変動
受入時 住居初期費用・家電/寝具・Wi-Fi・通勤手段・保護具・教材作成 初期教育の時間も見込む
継続 登録支援・面談/記録・教材更新・日本語・在留更新 定期面談、定期報告、在留資格更新は必須

7. スケジュールの目安

全体期間の目安(6か月程度)
海外在住の新規入国では、募集開始から配属まで6か月程度が一般的な目安です。混雑期や審査状況によっては例外的ではありますが約10か月かかるケースもあります。
国内在留人材の採用で在留変更が可能な場合は、3か月程度で立ち上がることが多い印象です。

 

ルートの違い:海外からの新規入国/日本国内在留人材の採用
海外ルートは「募集→選考→内定→在留資格認定→査証→入国→配属」の順で、国内ルートは「募集→選考→在留変更→配属」が中心です。どちらも配属前の生活オリエンテーション初期OJTが品質と安全を左右いたします。

 

STEP01〜STEP08と就労開始後の面談
STEP01:求人募集(要件整理)
STEP02:求職者募集(送出機関と連携)
STEP03:会社説明会・適性検査(一次選考)
STEP04:学力試験・面接(二次選考)
STEP05:内定・雇用契約・健康診断・渡日前ガイダンス
STEP06:在留資格認定の申請・査証取得
STEP07:入国日調整・航空券手配
STEP08:入国・各種手続き・配属・生活オリエンテーション

就労開始後は、登録支援機関が3か月に1回以上の面談を実施し、記録を残して是正・改善につなげます。

 

主なマイルストーン
1か月目 要件整理・募集開始・一次選考(書類/動画/会社説明)
2か月目 二次選考(学力/面接)・内定・雇用契約・健康診断
3〜4か月目 在留資格認定申請・査証手続・住居/備品準備
5か月目 入国日調整・航空券手配・受入導線確定
6か月目 入国・各種手続・配属・初期OJT(見本→同行→単独)

8. よくある落とし穴と対策

在留資格と職務の不整合/就業条件等の理解不足
就業する業務が特定技能(農業分野)の対象業務であるかの確認が必要です。
求人票・職務記述・工程写真・支援計画の表記を統一し、求職者にも理解できる形に整えてください。必要に応じて通訳を交えて説明し、行き違い等が内容にする必要があります。

 

対応が不十分な登録支援機関
登録支援機関選びを間違えると在留資格手続き・面談・記録・届出などの対応が抜けたり、十分なサポートを受けられないことがよくあります。
複数の登録支援機関の中かから自社に合った登録支援機関を選ぶことをお勧めします。
現場の登録支援機関の対応が不十分な場合は、すぐに他の支援機関へ切り替えることをお勧め致します。

FarmONでも登録支援機関の切り替え相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください!

 

初期導入のつまずき(生活立ち上げ・コミュニケーション)
到着後およそ3日間程度を生活準備期間として、住居準備、通信・役所・銀行対応等を済ませます。ゴミ捨てのルール理解や、ご近所への配慮(騒音等)などについても十分に共有しておくことが大切です。
現場教育も最初が肝心です。写真表示+解説動画+OK/NG基準などを提示してビジュアルでわかりやすく教育することがポイントです。

9. 業務への落とし込み(耕種/畜産の取り組み例)

耕種:播種〜収穫の工程設計と見える化
播種・定植・誘引・摘果・収穫・選果・箱詰めを作業単位に分解し、写真と短文でOK/NGを表示します。

 

畜産:給餌・洗浄・衛生動線の標準化と面談リズム
給餌、搾乳、施設洗浄、糞尿処理、器具の消毒、病畜の区分と報告ラインを図解で可視化します。器具の共用禁止や手順の順番(清潔→準清潔→不潔)を図で示し、ヒヤリハットを定例で回収します。面談は月1程度で実施するなどして、評価・昇給と連動させます。

 

区分 代表工程
耕種 播種・定植・誘引・摘果・収穫・選果・包装・出荷
畜産 給餌・搾乳・洗浄・消毒・糞尿処理・記録・衛生動線管理

10. 特定技能ガイド、シリーズ記事掲載予定

本記事は全体像の把握を目的としております。今後、読者の皆様に、特定技能(農業分野)について、さらに理解を深めていただくため、次の関連記事を掲載していく予定です。

① 特定技能と技能実習の違い/制度改正の要点
② 農業で特定技能人材を採用するメリット(品質・安全・通年化)
③ 採用手順の実務解説(応募〜配属)
④ 特定技能1号・2号の試験内容と対策(日本語の読み取り強化を含む)
⑤ 成功事例の分析(教育・工程設計・支援の型化)
⑥ 定着する職場づくり(面談・評価・多能工化)
⑦ 2025年最新の制度改正まとめ
⑧ インドネシア人材の特徴と活用ポイント
⑨ 失敗しない外国人材採用のコツ(在留・支援の整合)

11. 参考情報の集め方

出入国在留管理庁(制度の根拠)
最新の告示、運用要領、Q&A、様式を優先して確認してください。まず制度ページ、次に分野別資料、最後に様式・記載例という順が効率的です。

農林水産省(分野別の詳細)
農業分野の特定技能ページに、分野別運用の考え方やガイドラインが整理されています。地域・自治体の周知資料も参照し、齟齬がないかを点検してください。

試験実施団体(技能試験・日本語試験)
試験範囲、学習テキスト、日程・会場、申込方法を必ず最新の情報でご確認ください。受験者向けの注意事項や当日の持ち物、写真規格などの細目で差し戻しが発生しやすいため、申込〜受験〜結果確認までの流れを社内でチェックリスト化しておくと安心です。

12. 採用へ向けた次の一歩

相談先(登録支援機関・地域の関係機関)と社内合意の進め方
特定技能外国人の採用・管理は、対応が煩雑でミスが許されない部分も多いことなどから、募集前の要件整理から、在留・受入・面談の年次運用までを登録支援機関と共同設計なさることをおすすめいたします
社内では、費用・期間・人員計画をまとめ、採用スケジュールを作成するとスムーズな導入が可能になります。

特定技能(農業分野)についてのご相談は実績豊富なFarmONにお任せください!
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監修・執筆:株式会社FarmON

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