
本記事は、自動車運送業で外国人材のドライバーの採用を検討されている経営者・人事担当者様に向けたガイド記事です。特定技能を活用した採用計画、人材紹介〜在留〜教育〜配属の運用、登録支援機関との分担、さらにトラック運転に必要な免許取得と外免切替のコツまで、物流の現場が止まらない段取りを一気通貫で解説します。
はじめに
対象読者(自動車運送業の経営者・人事担当者様)
本ガイドは、物流を担う自動車運送業の経営者・人事担当者に向けて、特定技能による外国人材(インドネシア人材中心)の
採用と育成について、現場目線でまとめたものです。初めての外国人ドライバー採用でもスムーズに運用ができるように制度概要を含めた解説をします。
本記事のゴール(特定技能×インドネシア人材の採用判断と運用設計)
● どの免許のドライバーをいつまでに何名確保するかを、逆算して設計できる。
● 外免切替や教習所・試験場の活用を組み合わせ、最短でトラック配車に到達するステップがわかる。
● 人材紹介・登録支援機関・教習/試験場の分担を採用計画に落とし込み、定着まで見通せる。
ドライバー人材不足の現在地と未来予測
有効求人倍率は全産業平均を上回り、2024年問題(時間外労働規制)もあり、トラックドライバー不足は一段と深刻になっています。
労働力人口の減少が続く日本では、ドライバー人材確保が年々難しくなっており、近い将来、「運ぶこと」が今まで通りできなくなる可能性が十分にあります。
特定技能を中心に外国人材を計画的に採用・育成することが、地域物流の持続性を高める1つの手段になっていくことが予想されます。
人材確保策の1つとして、「特定技能ドライバー」を採用することは、リスクヘッジとして必要な手段の1つだと考えられます。
1.自動車運送業の特定技能制度・全体像
対象業務と求められる水準(技能・日本語)
自動車運送分野(バス・タクシー・トラック)は特定技能の対象に追加され、特定技能評価試験(トラック区分)と
日本語(JFT-BasicまたはJLPT N4相当)の合格が基本要件です。受付国・実施時期は拡張中のため、候補者の受験計画から逆算して採用時期を決めます。
企業側の要件(受入体制・支援計画・労務管理)
■ 受入要件
道路運送法に基づく自動車運送事業(トラック、バス、タクシーなど)を経営していること。
また、特定の認証(例:「運転者職場環境良好度認証制度」や「安全性優良事業所(Gマーク)」など)が必要です。
「自動車運送業分野特定技能協議会」に加入していること。
その他、適切な待遇や「新任運転者研修」(タクシー・バスの場合)の実施などが求められます。
■ 支援計画
住居・役所・銀行・医療・日本語学習・相談・面談等、他の分野ど同様に支援・管理が必要となります。
■ 労務管理
就業規則・賃金・残業・控除、点呼・運行管理(改善基準告示)等、日本人と同様の管理が必要です。
■ 安全管理
指差し呼称・危険予知トレーニング(KYT)・アルコールチェック・車両点検標準化等、日本人と同様の管理が必要です。
支援計画等については登録支援機関に委託し、役割分担することで、管理部門の負担軽減、事故・違反・離職のリスクを抑えることが可能となります。
登録支援機関の活用ポイント
● 在留・生活立ち上げの伴走(到着〜90日が勝負)。
● 二言語ツール、路上同行の手配、外免切替の実務支援。
● 月次レポートで学習・安全・コミュニケーションの状況を見える化し、モチベーションの低下を早期に検知。
2. 採用フロー(海外・国内在住別)
海外在住候補者:選考→在留申請→入国→配属
①人材紹介へ案件要件(車型・運行・必要免許)を共有→候補者選抜/②候補者が特定技能(トラック)試験+日本語合格→
③特定活動で入国(最長6か月)し、国内で外免切替や普通免許を取得→④特定技能へ在留変更→配属。
この「特定活動→免許→特定技能」運用が、最短で配車に至る現実的ルートです。
国内在住候補者:在留変更→選考→配属
留学・家族滞在などの在留者は在留資格変更と並行して選考・訓練を進めます。免許要件・運転経歴・適性を確認し、
準中型→中型→大型の段階取得計画を事前に確定。就業と学習の両立スケジュールを作成します。
面接設計(実技・安全意識・日本語)と書類準備
■ 実技:ミラー・死角・車幅感覚の動画課題/荷役・バック合図のロールプレイ。
■ 安全意識:ヒヤリハットの口述、速度・車間・天候判断の説明。
■ 日本語:道路標識・点呼会話・事故時の初動用語。
■ 書類:職務記述、労働条件通知、教育計画、支援計画、免許関連の証憑一式。
3. 日本の運転免許制度の基本構造(整合性の確認)
免許は車両総重量・最大積載量・乗車定員で区分されます。配車対象(地場/中距離/長距離、積載物、けん引の有無)から必要免許を確認し、取得する必要があります。
数値基準や詳細は改正されうるため、最新の公表資料を参照してください。
| 区分 | 主な対象車両例 | 内容パターン | 年齢・経歴要件 等 | |
|---|---|---|---|---|
| 普通 | バン・小型平ボディ(車両総重量3.5t未満、積載2t未満) | 宅配・企業配・構内搬送 | 18歳以上/運転経歴不要 | |
| 準中型 | 2t〜3t〜4tクラス(車両総重量7.5t未満、積載5t未満) | 地場配送・食品・雑貨・建材小口 | 18歳以上/運転経歴不要(直接取得可) | |
| 中型 | 4t~6tクラス中心(車両総重量11t未満、積載6.5t未満) | 中距離・量販・共同配送 | 20歳以上・「普通・準中型・大型特殊のいずれかの免許を取得し、通算2年以上の運転経歴(免許停止期間を除く)」 視力(両眼で0.8以上、一眼で0.5以上)、深視力(平均誤差2cm以下)、色彩の識別、聴力(90デシベルの警音器が10mの距離で聞こえる)**などの身体的条件を満たす必要があります。 |
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| 大型 | 10t・トラクタヘッド等(車両総重量11t以上、積載6.5t以上) | 幹線輸送・長距離・大型案件 | 「普通免許等(普通・準中型・中型・大型特殊)の取得から通算3年以上」、そして「満21歳以上」または「19歳以上で普通免許等を取得から通算1年以上(※)」、かつ「一定の視力・深視力・色識別能力」を満たすこと(中型と同様)です。 ※2022年の法改正により、特例教習を修了することで、19歳以上でも受験できる特例が設けられました。 |
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| けん引 | シャーシ・トレーラ連結車(車両総重量750kgを超えるトレーラーなど) | 海上コンテナ・タンク・ウイング連結 | 満18歳以上/普通自動車免許、大型免許、中型免許、準中型免許、大型特殊免許のいずれかを既に取得していること 「一定の視力・深視力・色識別能力」を満たすこと(中型・大型と同様) |
※ 区分の数値・年齢・経歴要件は改正や経過措置で異なる場合があります。最終的な適用は車検証の数値と各都道府県警の最新案内でご確認ください。
4. 外国運転免許からの切替(外免切替)の実務
外免切替の前提条件(発給国滞在要件 等)
外国免許(例:インドネシアのSIM)は、発給国での一定期間(3か月以上)の滞在・運転実績が条件です。
外免切替で取得できるのは原則「準中型まで」で、中型・大型は国内で段階取得が必要になります。
| 書類 | 準備主体 | 補足 |
|---|---|---|
| 外国免許原本 | 本人 / 送出機関 | 有効期限・取得年月日・種別を確認 |
| 公的翻訳(JAF等) | 本人 / 登録支援機関 | 3,000-4,000円程度 |
| 旅券・在留カード・写真 | 本人 | 身分証明書一式 |
| 申請書・手数料 | 本人 / 会社 | 申請・交付・受験手数料で10,000円程度(免許種類により異なる) |
手続きの流れ(申請→適性→知識・技能審査→交付)
| STEP | 内容 | 所要・留意点 |
|---|---|---|
| 1 | 申請(書類提出・予約) | 予約枠の確保。近県の選択肢も検討 |
| 2 | 適性検査(視力等) | 深視力・色覚など条件確認 |
| 3 | 知識・技能審査(学科・実技) | 標識・法規の反復、S字/クランク/方向変換の練習 |
| 4 | 交付(準中型まで) | 中型・大型は国内段階取得へ |
ボトルネックと対策
● 外免切替制度の見直し(2025年10月1日以降)
2025年10月1日以降、外国運転免許証の日本への切り替え(外免切替)は、難化しています。
主な変更点は、短期滞在者への制限、知識確認(学科)の厳格化、技能確認(実技)の厳格化です。
学科については、問題数が従来の10問から50問に増加。合格基準が正答率90%以上に引き上げられました。
イラスト問題が廃止され、交通法規の知識をより深く問う内容になりました。
実技については、日本の道路事情に即した、より安全性を高める内容に変更されました。
課題に横断歩道や踏切の通過が追加されました。運転中の合図や右左折の手順などがより厳格に審査されます。
● 予約枠確保
スケジュールの確認、近県の選択肢も考慮する必要アリ。
● 学科
標識・法規等の反復演習(二言語教材)、習熟度の随時確認が必須。新制度試験への対応も必要となり、より徹底した教育が必要。
● 実技
日本の交通法規、道路状況に合わせた事前教習なくしてスピーディーな合格は困難。こちらも新制度試験への対応が必要です。
(FarmONの場合はインドネシアの提携先送出機関の日本式教習所にて事前に現地講習実施)
● 不合格時
弱点別の再学習計画を設定し。教習所フォローする必要がアリ(FarmONは合格まで伴走します)
5. 配車に必要な免許区分の選定(業務要件の棚卸し)
地場の2t〜3tは準中型、4tは中型、10t・幹線は大型やけん引が前提になります。
案件(積載物・距離・時間帯)から免許を逆算し、在留・教育スケジュールと合致させることが必要となります。
※ 荷役・構内作業は制度上、付帯業務として実施可能です。
6. 準中型・中型・大型 取得までのステップ例
ルートA:指定自動車教習所での段階取得
教習+検定の王道ルート。費用はかかるものの、学科・技能の不足を系統立てて補えるため、
就業と学習の両立に向きます。準中型→中型→大型の順に進めていくことが可能です。
ルートB:試験場(一発試験)での段階取得
コストは抑えられる一方、自己学習負荷が高く合格率は下がりがち。外免切替対策+日本式運転の事前訓練が鍵になります。
不合格時の再挑戦計画(弱点別メニュー)と日程の抑え方を、予め「条件表」にしておくことで。
7. ケース別フローチャート(外免→業務運転まで)
● ケース1:外免切替→普通→準中型→中型(段階的に担当案件拡大)
● ケース2:外免切替→準中型(直接)→中型→大型(長距離・増t対応へ)
● ケース3:外免切替+国内で大型+けん引(幹線・シャーシ案件)
いずれも年齢・運転経歴要件を事前にチェックし、不合格時の再挑戦条件や別ルート(教習所/試験場)への切替基準を決めておく必要があります。
8. 安全・法令・労務の要点
■ 安全教育
指差し呼称、危険予知トレーニング(KYT)、点呼の「指示→復唱→確認」。
■ 労働時間・運行管理
休憩・仮眠・分割睡眠のルールを運行表に可視化(改善基準告示の順守)。
■ 日本語コミュニケーション
運行指示・注意喚起・事故初動カードを二言語で掲示。
■ 事故・違反時フロー
負傷→警察→保険→会社連絡→記録→再発防止の順序を固定。
■ 年次点検
登録支援機関と安全・学習・労務の年次レビューを実施し、是正→改善を継続。
9. インドネシア人材の特長と活用のコツ
FarmONではインドネシア人材の特定技能ドライバー(自動車運送業)の育成に注力しております。
インドネシア人材は協調的で規律を重んじ、日本人従業員との相性が良い傾向がみられます。
ただし、これはインドネシアに限ったことではありませんが、十分な日本語教育と共に、日本の道路交通法規・運転マナー等と現地ルールは異なるため、厳格に教育する必要性があります。
FarmONは現地送出機関と提携し、日本式教習(約120時間)をインドネシア現地で実施済みのドライバー候補生を採用・紹介することが可能です。十分な日本語教育を実施の上、適性検査等で職務適性の高い人材の採用が可能となります。
インドネシア人ドライバー採用のメリット
- 左側通行・右ハンドル文化:日本と同じため、走行感覚・右左折時の目線・ミラー確認の習慣をスムーズに移行しやすい。
- 二輪・混在交通での周辺認知:二輪・歩行者の多い環境での危険予知経験が、日本の市街地運転にも活きる。
- 協調性と継続力:点呼・安全唱和・バック合図など「声を合わせる」文化と相性が良い。
- 学習姿勢:標識・法規の反復学習を厭わず、段階取得(準中型→中型→大型)で伸ばしやすい。
10.免許取得費用・期間・評価指標の目安
海外人材は特定活動で入国(最長6か月)し、国内で外免切替または普通免許→免許取得後に特定技能へ在留変更→配属。
これにより配車までのリードタイムを最短化できます。
● 期間・費用の目安
外免切替は、一発免許の場合、手数料は1回あたり1万数千円程度。普通から準中型への限定解除は手数料は数千円程度(一発免許)。
普通免許の教習費用は30万円程度。期間は1~3か月程度。
普通から準中型への限定解除で教習所にて取得する場合、費用は10-20万円程度、取得期間は20日程度〜が目安。
● 評価指標例
外免切替一発合格率/学科満点率/減点項目の削減/無事故無違反日数/定着率(90日・半年・1年)など
●その他費用
人材紹介費用・支援費用(登録支援機関に支援業務を委託する場合)は別途必要となります。
11. FarmONの支援メニュー(自動車運送業×特定技能)
候補者紹介(インドネシア人材中心)と事前評価
人材紹介で「運転経歴・免許種(インドネシア免許種別:SIM A/BⅠ等)・違反歴・日本語力」をスクリーニング。
インドネシア現地の日本式教習所にて十分な教育を行います。
インドネシア現地の送出機関との提携(自動車運送業 特定技能に特化)
FarmONはインドネシアの認定送出機関と提携し、特定技能(トラック)試験対策+日本語教育+日本式運転教育を入国前から実施。
国内での外免切替に備え、学科・実技の基礎を事前に固めます。
日本式教習センター×日本人教官による実技・マナー教育
日本基準のコースで日本人教官が運転マナー・ルール・実技を訓練。
入国1か月前から集中的に同乗・学科を進め、外免切替の合格対策までカバーします。
協働で整備した教材(標識・法規・ヒヤリハット事例)により、実務の安全水準を底上げします。
他社では実現しづらい徹底サポート
● 学習進捗の見える化/スコアに基づく弱点補講など。
● 生活面の支援・モチベーション面談・家族連絡窓口の設計など。
12. まとめ・次の一歩
外免切替×日本式運転教育で外国人ドライバーの確保をサポート致します。
無料相談では、特定技能外国人ドライバー採用にあたっての不安・疑問等についてもお答え致します。
インドネシア人材を中心に最適な候補者と学習計画をご提案し、外免切替や中型・大型拡張の段取りまでFarmONが伴走します。
まずはお気軽に、FarmONまで、お問い合わせください!
監修・執筆:株式会社FarmON
