- 2025.09.29
- 農業分野で就労可能な在留資格|特定技能の最新制度改正、導入のポイント
農畜産業の現場において外国人材の活用は必要不可欠です。
本記事は、農業・畜産業で外国人材の受け入れを検討する方向けに、
主要な在留資格(技能実習/資格外活動/技術・人文知識・国際業務/特定技能)の使い分けを解説します。
続いて特定技能(農業分野)の「最新の制度改正」「現状」「今後」を実務の視点で詳しく整理し、外国人材紹介と登録支援機関の活用で省力・安心に導入する道筋を示します。
この記事のポイント
● 対象:農業・畜産業の事業者、営農法人、出荷団体のご担当者。
■ 目的:在留資格の使い分けを理解し、特定技能導入の意思決定材料を整える。
✓ 支援:外国人材紹介と登録支援機関を組み合わせ、省力・安心でスタート。
※ 農業分野の特定技能外国人材紹介・支援をお探しの方はFarmONまでお気軽にご相談ください。
(お問合せは右上のオレンジ色の「お問い合わせ」ボタンから可能となっております)
農業で使える主な在留資格
① 技能実習(教育・訓練が目的)
栽培・収穫・選果、畜産業では飼養管理などが対象。教育計画と指導体制に向きますが、恒常的な欠員の穴埋めには不向きです。
■ 期間:1〜3年(区分により異なる)
✓ 強み:送出ルートが確立/教育設計と相性
※ 留意:実習計画外の恒常業務には不向き。修了後は帰国または他資格へ。
② 資格外活動(留学・家族滞在)
地域に住む留学生や家族滞在の方が、許可の範囲で就労。繁忙期や短時間補助に適します。
■ 時間:学生は週28時間以内/長期休暇は1日8時間以内の目安
✓ 活用:収穫ピークの補助・選果・箱詰めなど
※ 留意:フルタイムの主戦力化には不向き
③ 技術・人文知識・国際業務
専門性が必要な事務・企画・貿易・品質管理・通訳などの業務に適した在留資格です。現場の農作業はあまり想定されていないため、役割の線引きが肝心です。但し、専門的な農業技術および知識を活かした農業生産管理、衛生管理等の業務であれば認められる可能性は十分にあります。
■ 適性:輸出入・生産管理・品質文書・安全衛生管理・通訳・IT導入 等
✓ 補完:現場は特定技能、生産管理・衛生管理等は本資格で分担すると現場運用が安定
④ 特定技能(農業分野)
人手不足分野で即戦力を受け入れる制度。耕作・管理・収穫・選別・出荷、畜産業の給餌・搾乳・衛生管理まで幅広い工程に対応します。登録支援機関に生活・日本語等の支援計画を委託でき、外国人材紹介と組み合わせると採用〜定着まで省力化できます。
■ 1号:在留は通算5年。技能試験+日本語基礎試験が前提。
■ 2号:在留上限なし(農業にも拡大)。熟練・管理業務が可能。
✓ 雇用:原則は直接雇用。支援計画の実施(委託可)が必須。
在留資格の使い分け(比較表)
| 項目 | 技能実習 | 資格外活動 | 技術・人文知識・国際業務 | 特定技能(農業) |
|---|---|---|---|---|
| 主な目的 | 技能移転・教育 | 短時間の就労補助 | 生産管理・技術・事務・企画 | 即戦力の現場就労 |
| 期間の目安 | 1〜3年中心 | 週・日数に上限制限 | 更新あり(職務要件) | 1号:通算5年/2号:上限なし |
| 農作業の適合 | 実習計画の範囲で可 | 定型補助に向く | 現場作業は想定外(生産管理は可) | 幅広い工程に対応 |
| 生活支援 | 監理団体等が関与 | 雇用側の裁量が大きい | 義務はなし、必要に応じて設定 | 支援計画の作成(委託可) |
✓ 結論:通年の主力化と工程の安定を目指すなら、特定技能が最も実務と制度の両輪を揃えやすい選択です。特定技能2号へのステップアップによって管理職等への登用もしやすくなりました。
特定技能の制度改正(最近のポイント)
直近の省令改正により、特定技能所属機関(受入れ企業)・登録支援機関の実務に関係する点が整理・見直しされました。農業・畜産業の現場でも運用がシンプルになり、地域との連携がより明確に求められます。
● 届出の簡素化:特定技能所属機関の定期届出の頻度が「四半期ごと→年1回」へ変更(随時届出の項目も整理)。
● 自治体との連携強化:受け入れ時に「協力確認書」を市区町村へ提出し、自治体の共生施策を踏まえた支援計画を作成・実施。
● 申請様式の更新:在留諸申請の様式や、提出書類の省略ルールが見直し。最新版の様式で準備。
● 分野の広がり:特定技能2号の対象が拡大し、農業分野でも2号が運用(熟練・管理業務、在留上限なし)。
※ いずれも最新の公表情報をご確認ください。制度改正は現場に直接影響します(届出スケジュール、支援計画、申請書式など)。
<実務アドバイス>年次の定期届出は、登録支援機関と情報共有しつつ忘れずに提出するようにしましょう。万が一提出等が遅れる場合は「理由書」の添付を忘れずに。
<関連リンク(本文内参考)> 出入国在留管理庁の制度ページ/農業分野ページ/農林水産省の案内ページ を記事末の「出典」にまとめました。
特定技能(農業)の現状
特定技能の受け入れは全国で拡大しています。耕作・圃場管理・収穫・選別・梱包・出荷、畜産業の給餌・搾乳・衛生管理までカバーし、繁忙期の山を均すと同時に通年の主力化に役立ちます。
現場では外国人材紹介で候補者プールを確保し、登録支援機関が生活・日本語・相談体制を受け持つ分担型が主流です。
■ 人材像:技能試験+日本語基礎(JFT-Basic/JLPT N4以上)。試験免除(技能実習2号修了)ルートもあり。
■ 業務範囲:耕種・畜産ともに生産〜出荷の幅広い作業に対応。2号は工程の管理業務も可。
■ 雇用形態:原則は直接雇用。派遣も取り扱いあり(分野要件・法令順守が前提)。
現場での“成功の型”
✓ 写真掲示+二言語キャプション:選果のOK/NG、衛生手順、作業動線、工具・薬剤の扱いを「写真+短文」で統一。判断が速くなり、ミスが減ります。
✓ 小さく始めて連続採用:まず2〜3名で始め、3か月後に追加採用。先輩が後輩を育てる体制を作ると、現場の管理の手間が省けます。
✓ 月次の評価・昇給テーブル:技能(スピード/精度)、日本語、協働姿勢を数値化。昇給/役割=見える化で定着率が上がります。
よくある“つまずき”と対処
■ 生活準備の遅れ:住宅手配・家財道具・通信等の準備や役所手続きなどの行政手続きが後手になると早期離職の原因に。到着後3日程度は生活準備期間として確保するなどしてで対応するのがオススメです。
■ 指示の伝達ミス:口頭一発は危険。短文・写真・色分けで重ね、掲示物を現場の視線の高さに。
■ 気温リスク:日本の夏の暑さは外国人材にとっても厳しいものがあります。WBGT掲示と休憩ルールを定めて対策をしましょう。また、温かい気候の国からくる外国人材にとって日本の冬の寒さや凍結等も想定外であることが多いです、丁寧に説明し十分な準備をするようにしましょう。
制度面の“いま”
● 2号の運用開始:熟練・管理を担える特定技能2号が農業でも運用。主力の長期雇用設計が可能に。
● 届出の合理化:定期届出の年1回化で、現場の事務負担が軽減。
● 自治体連携の明確化:協力確認書の提出と、自治体施策を踏まえた支援計画づくりが必須。
<まとめ> 現場は工程の標準化、制度は年次運用。この2つを登録支援機関とセットで回すことが、最短・安全・省力の鍵です。
特定技能の今後
特定技能は、人手不足の解消だけでなく、工程の改善・見える化を進める装置としても機能します。今後の実務は次の方向に進むと見られます。
① 2号への道筋を早期設計
■ 段位表:入社時に「技能段位(初級→中級→上級)」「日本語(N5→N3)」と昇給を連動。2号受験の要件(実務経験・管理補助)を最初からOJTに組み込みます。
■ 管理の練習:1ライン2名の配置で、先輩が新人に手順を説明→翌日は先輩が監督を担当。これを週1回まわすと、自然に管理経験が貯まります。
② 工程DXと多言語化
■ 標準仕事票をデジタル化:写真表示等をクラウドで共有し、手順などを示した動画などを用意し、で新人教育。現場の外国人もスマホで即確認。
■ 二言語固定テンプレ:安全掲示・品質基準・歩留チェック表は日本語+母語。テンプレートを最初に作っておくと、新規採用した際も問題なく回り続けます。
③ コンプライアンス運用の定着
■ 年次の定期届出に一本化:期首/期末で書類をそろえ、登録支援機関と「年次監査+是正」型に。
■ 自治体連携の標準化:「協力確認書」はテンプレ化。外国人相談窓口・日本語教室・ごみ分別・自転車マナーの資料リンクを支援計画に貼り込みます。
④ 採用の多ルート化
■ 国内外の二面作戦:国内は留学生・家族滞在の資格外活動で短時間補助、主力は海外からの特定技能で通年雇用。季節の山谷に合わせたハイブリッドが強いです。
■ 外国人材紹介×事前学習:母国での事前日本語・農業基礎学習をパッケージ化すると、着任後90日の立ち上がりが速くなります。
<メッセージ>「募集→採用→在留→支援」を1枚のロードマップにし、登録支援機関と年間計画を共有しましょう。制度改正で年次運用が通りやすくなった今こそ、現場標準化と長期人材育成に投資する好機です。
導入フロー(要件定義→採用→在留→受け入れ→定着)
① 要件定義(1~2週間)
■ 作業:工程分解・必要人数・シフト・日本語要件
✓ 文書:求人票・職務記述・評価表・安全手順(写真)
② 採用(3〜6週間)
■ 連携:外国人材紹介会社に要件共有→会社説明・経歴確認で適性確認
▸ 面接:オンライン面接+簡易技能テスト(重量・色識別・数える作業)※FarmONでは現地面接も可能です
✓ 決定:内定通知・多言語条件通知・着任日確定
③ 在留申請(8~12週間)
■ 書類:雇用契約・支援計画・会社資料・住居情報(チェックリストで進行)
✓ 支援:登録支援機関がスケジュールと不備解消を伴走
④ 受け入れ(到着前〜到着週)
■ 住居:寮・家電・寝具・Wi-Fi・ごみ分別表・地域ルール掲示
■ 役所:転入届・保険・口座開設(通訳・支援機関同行)
✓ 職場:安全具・名札・ロッカー・二言語掲示。初日の導線を紙1枚でまとめておくと便利です。
⑤ 初日〜90日(OJTと評価)
■ 訓練:見本→同行→単独。OK/NG写真で合格ライン統一
▸ 面談:週1面談で不安回収。月次で評価・昇給目安を共有
✓ 将来:2号を見据えた段位表・リーダー育成
現場運用のコツ(安全・品質・日本語)
■ 安全:危険は赤・要注意は黄・OK動線は緑。熱中症はWBGT掲示と休憩ルール
■ 品質:サイズ・色・傷の基準を写真と短文で。数値目標を添える
■ 日本語:短文指示+ピクト+ふりがな。用語集を共有
✓ (例)畜産業:搾乳の衛生、給餌の規格化、家畜のストレス軽減動線を標準化
費用・期間と回収
初期費用は「採用・受け入れ準備・就労開始」までのトータルコストを把握する必要があります。欠員縮小と品質安定で、生産性の向上によるコスト回収を目指します。
| 項目 | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 導入期間 | 3〜6か月 | 候補国・試験・渡航で変動。逆算計画を ※ |
| 初期費用 | 数十万円/人(住居・備品・渡航 等) | 内訳を明文化し控え共有でトラブル防止 |
| 運用コスト | 支援委託・通訳・交通 等 | 登録支援機関の委託で省力・安全 |
Q&A
Q1:特定技能1号と2号の違いは?
✓ A1:1号は最長5年の現場中心、2号は在留上限なしで熟練・管理も可能(農業でも運用)。
Q2:小規模でも導入できる?
✓ A2:可能。1名から開始。登録支援機関の伴走で負荷を軽減。
Q3:日本語が不安。
✓ A3:基礎日本語+写真手順+通訳アプリ。危険標識は色分けで補完。
Q4:費用の目安は?
✓ A4:紹介料・支援委託・住居等。補助金で軽減可。FarmONが概算を提示します。
Q5:農業・畜産業上の注意における外国人育成におけるは?
✓ A5:定形化された作業だけでない場合も多く、言葉だけでは伝わりづらいことも多いのが現実です。作業方法を標準化。注意ポイント等は写真表示が有効。
まとめ・ご相談
● 在留資格は用途で使い分け。農業分野における通年の主力化には特定技能が適します。
● 外国人材紹介+登録支援機関の組み合わせで、採用〜定着を一気通貫で。
● FarmONは制度整理・職務分解・採用・在留・受け入れ・OJT・定着まで伴走します。
監修・執筆:株式会社FarmON

